遺言
遺言をすることにより,自分の財産を,死後,誰にどのように引き継がせるかについて,自分の意思でしっかりと決め,遺産をめぐる争いを防止することができます。
「うちは家族みんな仲が良いから相続でもめるはずがない」
「大した財産はないから」
「遺言なんて先の話だし縁起でもない」
そうお思いではありませんか?
もちろん,遺言は必ずしなければならないということはありません。遺言がない場合でも,相続人全員による遺産分割協議を行えば,不動産や預貯金等の名義変更をすることができ,相続人に遺産を引き継いでもらうことができます。しかし,反対に,相続人のうち一人でも協議に納得しない人がいると,協議がまとまるまで名義変更は不可能となります。
また,相続人以外の第三者に遺産を譲りたい場合は,遺言にその旨を記しておくことが必要です。
適法な遺言書を作成しておくことにより,原則遺言の内容どおり,円滑に相続人や第三者に遺産を引き継いでもらうことができます。
例えばこのような方は遺言書を作成されることをお勧めします
子供がいないので自宅等の遺産は妻に相続させたい
子供がいない場合の相続人は配偶者と親(親や祖父母がいない場合は兄弟)であるため,遺言がない場合,自宅を含めた遺産の名義変更には配偶者と親や兄弟全員の遺産分割協議が必要です。
相続人がいないのでお世話になった人や団体に遺産を譲りたい
相続人がいない場合,遺言がなければ,遺産は国が引き継ぐことになります。
事業を経営しているので事業用財産や会社の経営権は後継者の長男に引き継がせたい
遺言がない場合,事業用財産や会社の株式を含めた遺産の名義変更には相続人全員の遺産分割協議が必要です。協議が長引いた場合には,事業の継続に支障が出る可能性があります。
自分の死後,相続人の手を煩わせたくない
遺言で各遺産について引き継ぐ方を決めておけば,遺産分割許協議は不要となります。特に相続人の数が多い場合は,遺産分割協議に手間がかかる可能性があります。
遺言は,自分のためではなく,遺された家族のためにするものともいわれています。
当事務所が大切な遺言書の作成をお手伝いします。
遺言の方式
遺言は,法律で定められた方式に従って作成する必要があります。民法では7種類の遺言が定められていますが,その中でも作成されることの多い自筆証書遺言と公正証書遺言についてご説明します。
(1)自筆証書遺言
自筆証書遺言とは,遺言をしようとする人が自分自身で遺言の全文,日付及び氏名を書き押印して作成する遺言のことをいいます。
(メリット)
① 自分一人で簡単に作成できる
② 費用がかからない
(デメリット)
① 遺言書の方式不備による無効や遺言の内容に法律的な疑義が生じる恐れがある
② 遺言者の死後,遺言書が発見されなかったり,隠匿・改ざんされる恐れがある
③ 遺言者の死後,家庭裁判所の検認手続が必要となり,遺言内容の実現まで日数がかかる
(2)公正証書遺言
公正証書遺言とは,公証人が作成する公正証書によってする遺言のことをいいます。
(メリット)
① 法律専門家である公証人が関与するので,無効や疑義が生じる恐れが少ない
② 遺言者が公証人役場に保管されるので,遺言書の検索が容易であり,偽造・改ざんされる恐れがない
③ 家庭裁判所の検認手続が不要であり,遺言内容の実現まで日数がかからない
(デメリット)
① 公証人の関与が必要となり,証人2名も必要となる
② 費用がかかる
公正証書遺言は,若干の費用はかかりますが,自筆証書遺言に比べて無効や偽造・変造の恐れが少なく,相続開始後の手続もスムーズにいくことから,概ね公正証書による遺言をお勧めしています。
遺言書作成の流れ
(1)ご依頼者様と打合せ
ご依頼者様の親族関係や財産状況,ご希望の遺言内容についてお話を伺い,遺言内容を検討します。
遺言書作成費用についてご説明します。
(2)必要書類の取得
遺言書作成に必要な書類(戸籍謄本,登記簿謄本,評価証明書等)を取得します。
(3)遺言書案文作成
取得した書類を基に,必要に応じて再度打ち合わせをし,遺言書の案文を作成します。
(4)公証人と打合せ(公正証書遺言の場合)
必要書類や遺言書案文を公証人に送り,当事務所が公証人と打合せを行います。
(5)遺言書作成
(公正証書遺言の場合)
公証役場に伺い,遺言を作成します。ご自宅への出張も可能です。
公証人が遺言の内容を読み聞かせますので,間違いがなければ,ご依頼者様と証人が署名押印します。当事務所が証人を用意することも可能です。
公正証書遺言の原本は公証人役場で保管されます。ご依頼者様には公正証書遺言の正本と謄本が渡されます。
(自筆証書遺言の場合)
当事務所やご自宅で,ご依頼者様の自筆により遺言を作成します。
方式不備による無効や遺言の内容に疑義が生じないようアドバイスします。
遺言書はご依頼者様ご自身が保管することになりますが,当事務所がお預かりすることも可能です。
遺言書を見つけたら
公正証書以外の遺言書は,家庭裁判所の検認手続が必要です。
検認とは,相続人に対して遺言の存在と内容を知らせ,遺言書の形状・日付・署名等検認の日における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防ぐ手続です。
ご依頼いただければ,当事務所が遺言書検認申立書を作成します。
費用
(1)公正証書遺言
① 司法書士報酬
基本報酬 80,000円
出張費 1回につき10,000円
当事務所で証人を用意する場合 1人につき10,000円
当事務所で必要書類を取得する場合 1通につき1,000円
※ 消費税が別途かかります
※ 財産の価額や遺言内容等により増額となることがあります
その場合必ず事前にお見積りします
※ 出張費:ご依頼者様の自宅等へお伺いしたときに発生する費用です
② 公証人手数料
財産の価額や相続人・受遺者の数によって異なりますが,財産の価額が
3000万円の場合概ね6万円程度です
③ その他の実費
戸籍謄本等の交付手数料
交通費,郵送料 等
(2)自筆証書遺言
① 司法書士報酬
基本報酬 80,000円
出張費 1回につき10,000円
当事務所で必要書類を取得する場合 1通につき1,000円
当事務所が遺言書をお預かりする場合 1か月あたり1,000円
※ 消費税が別途かかります
※ 財産の価額や遺言内容等により増額となることがあります
その場合必ず事前にお見積りします
※ 出張費:ご依頼者様の自宅等へお伺いしたときに発生する費用です
② 実費
戸籍謄本等の交付手数料
交通費,郵送料 等
(3)遺言書検認申立書作成
① 司法書士報酬
基本報酬 30,000円
当事務所で必要書類を取得する場合 1通につき1,000円
※ 消費税が別途かかります
※ 相続人の数等により増額となることがあります
その場合必ず事前にお見積りします
② 実費
戸籍謄本等の交付手数料
収入印紙・郵便切手代 数千円程度